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2018年08月11日

国指定天然記念物「チャツボミゴケ」の今の姿(群馬県)

『あれは、ダメだ・・・』
(広い意味での)町の関係者が、見学から帰るなり
地元の人に、そう漏らしていた。
そう、確かに「あれではダメ」だった・・・。
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群馬県の国指定天然記念物「チャツボミゴケ」の群生地の話だ。
それまで、町の人がそれなりに世話を焼いていたようなのだが、
2年ほど前に国の天然記念物に指定されたことで、
その「世話」ができなくなってしまった、らしい。
保護の矛盾のような気配がする。
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(小耳に挟んだ話なので正確性に欠ける可能性もあるが・・・)
7月、チャツボミゴケは、明らかに生命力を失っていた。
パンフレットに映る鮮やかで深みのあるグリーンの光景は失われ、
薄い緑色から黄色がかった「枯れた」色合いをしていた。
原因は、天候のせいだ。
しかし、これまでにも猛暑の年はあったはず・・・。
これまで行われていたのは、町民による「世話」だ。
どうやらチャツボミゴケを守るために水をかけていた、らしい。
水量が十分とはいえない群生地に、
チャツボミゴケに必要な水分を補充する役割を
町の人が担っていた、らしい。
これは非公式な活動なのかもしれない。
しかし、国の指定を受ける前だから、
町の裁量で、ある程度自由な活動ができたのだと思う。
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国指定の天然記念物になれば、
もっと手厚く保護され、もっと観光で訪れる人が増えるだろう。
誰もが、そう思う。
しかし、現実は、そうはなっていない。
マイカーの乗り入れは禁止されている。
専用のバスがあるから、そこはマイナスではない。
やはり、町の人の手で守れなくなったことが、
大きな誤算なのだろう。
未来を正確に予測できなかったのかもしれない。
国指定の天然記念物という称号を得た代わりに失ったものは、
残念ながらもう取り戻せない。
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この夏、当地を訪れた人の感想をネットで読んでも、
明らかに期待はずれ、となっている。
文化・観光と自然維持の両立の難しさが、そこにある。
未来を見極める眼がとれだけ大切か、あらためて実感した。


国指定天然記念物「チャツボミゴケ」の今の姿(群馬県)

[写真は、メインスポットの〝穴地獄〟]
本来は深い緑色のコケで覆われているハズなのだが・・・。

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この件と防潮堤の話は、別の次元のモノであるとは思う。
しかし、どこか何かが似ているようにも感じる。
ひとつの称賛が、100%の満足を生むことはない。
防潮堤の建設が、地域を置き去りにしていないか?と、
時々思ったりする。
子どもの頃から見続けていた光景が、自然的に失われる以上に、
人の手と機械によって変えられていくことに、
淡い気持ちが交錯する。
昔、この砂浜の岩場の下で天然のカキが採れた、と言っても
もう誰も信じないだろう。
灯台があったことさえ、記憶から消えていくだろう。
責任とか覚悟とか、
そんな言葉が、ナゼか頭の片隅にチラつく。



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